この記事では、苦手に思っている人の多い「現在完了形」について、基本から詳しく確認していきます。
「現在完了形って何?」
「現在形や過去形と何が違うの?」
「用法が3つもあって、使い分けの仕方がわからない…」
以上のような疑問を持っている人は、この記事がお役に立てるはずです。
それでは、早速確認していきましょう!
現在完了形とは、「have(has)+過去分詞」の形で表される、英語独特の時制表現です。
日本語にはない時間感覚なので、苦手に思っている人も多いかと思います。
日本の学校教育では中学2年生の終わり~3年生の初め頃に習うのが通例です。その際、以下の3つの意味を呪文のように覚え込まされた人がほとんどなのではないでしょうか。
- 継続(ずっと~している)
- 経験(今までに~したことがある)
- 完了(~したところだ / ~してしまった)
しかし、「なぜ have(has)を使うのか?」「なぜ動詞が過去分詞になるのか?」「なぜ意味を3つに分類するのか?」、これらの疑問については、特に詳しく教わらないままだった人も多いのでは。
英語を理解するにあたって、丸暗記はNG。ということで、まずはこれらの理由を詳しく確認していきましょう。
have と言えば「~を持っている」という意味が有名ですが、現在完了形の場合も同じです。つまり、現在完了形は「(過去の経験や出来事を)持っている」という意味なんです。
たとえば、以下の例文を見てください。
ここで使われている have が「~を持っている」という意味なのは一目瞭然ですね。時制は現在形なので、本という対象を今持っていることを表しています。
では、続いて以下の例文を見てください。
ここで使われている have も本来は、「~を持っている」という意味の動詞なんです。
この文の意味は、「10年間英語を勉強した(studied English for 10 years)」という経験・出来事を、対象として今持っているということ。それを意訳した結果、「ずっと~している」という意味になるだけなんです。
現在完了の基本イメージ
⇒「(過去の経験や出来事を)持っている」
現在完了形と同じく have を使う「have to」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
現在完了の have はもともと動詞なので、時制の影響を受けます。そのため、主語が三人称単数でかつ現在形という、いわゆる「三単現」のときは、have に s が付いた has に形が変わります。
現在完了形では、have の後ろに来る動詞が「過去分詞」という形に変わります。なぜそのような変形を行うかというと、動詞が2つ並んではいけないからです。
上述の通り、現在完了形の have は本来動詞です。その後ろにまた動詞を付けてしまえば、動詞が2つ並んだ、文法的に誤っている文になってしまいます。
現在形と過去形は動詞ですが、過去分詞形は動詞ではありません。そのため、have +過去分詞という形にすれば、動詞の連続を防ぐことができるんです。
たとえば上の例文を見てください。see という動詞は、過去形が saw、過去分詞形が seen となります。
×の文では、have(動詞の現在形)とsaw(動詞の過去形)を並べてしまっているので、文法的に誤っています。
その一方、〇の文ではhaveの後ろが seen(過去分詞形)なので、動詞の重複を防げています。
過去形と過去分詞形の形が同じ動詞も多くありますが、その表す意味が異なっている点は、しっかり把握しておきましょう。
なぜ have の後ろは過去分詞になるのか?
⇒過去分詞は動詞じゃないから
冒頭でも言いましたが、現在完了形は以下の3つの意味に分類されます。
継続(ずっと~している)
経験(今までに~したことがある)
完了(~したところだ / ~してしまった)
なぜこのような分類を行うかというと、現在完了の時制が日本語に存在しない時制だからです。
生まれたときから英語を話しているネイティブたちは、これら3つの用法に分けることなく、あらゆる「have(has) +過去分詞」の形を同一の時制として認識しています。
しかし日本語には、これに相当する時制が存在しません。そのため、現在完了形を日本語で解釈するためには、便宜的に「継続・経験・完了」の3種類に分類する必要があるんです。
なぜ「継続・経験・完了」に分類するのか?
⇒現在完了が日本語に存在しない時制だから
では、どのような点に注意して3用法を見分ければ良いのでしょうか。それについて、次の見出しで詳しく確認していきましょう。
現在完了形を日本語に置き換える際は、「継続」「経験」「完了」の3つの用法に分けて考える必要があります。
しかし、これら3用法はどれも「(過去の経験や出来事を)持っている」という意味で共通しているため、ネイティブはわざわざ分類することなく、それぞれを同じものとして認識しています。
「(過去の経験や出来事を)持っている」という意味から、なぜ「継続」「経験」「完了」という3種類の用法が生まれるのでしょう。ここでは、その詳細を確認していきます。
「継続」の用法では、過去から現在までが波のようにイメージされています。
たとえば、以下の例文を見てください。
この文では、お兄さんは3年前からずっと京都に住んでいて、途中で埼玉に引っ越したり、北海道に移住したりといったことはしていないはず。そのため、お兄さんが京都に住み始めたときから現在までが、一貫した波としてイメージされているんです。
現在完了形の継続用法では、以下の表現がよく使われます。
for:「~の間」(期間の長さを表す)
since:「~から / ~以来」(期間の始まりを表す)
how long ~?:「どれくらい長く~していますか」と、期間の長さを尋ねる
「経験」の用法では、過去から現在までが経験の回数でイメージされています。
たとえば、以下の例文を見てください。
この文では、過去から現在までの間にUSJに行った経験が「3回」という回数でイメージされています。数直線の上に3つの点が並んでいるような状態です。
経験用法では、継続と違って「いつから」という明確な過去の1点は示されません。そのため、たいていの場合は「生まれてから今まで」を表します。
現在完了形の経験用法では、以下の表現がよく使われます。
once:「1回」
twice / two times:「2回」※3回目以降はすべて「数字+ times」の形
many times:何回も
how many times ~?:「何回~したことがありますか」と、経験の回数を尋ねる
ever:「今までに~したことがありますか」と、経験の有無を尋ねる
never:「今までに~したことがありません」と、経験が無いことを表す
「完了」の用法では、過去に始まった何かが、現在ちょうど(すでに)終わったことがイメージされています。
たとえば、以下の例文を見てください。
この文では、食べ始めた朝食を、ちょうど今食べ終えたことがイメージされています。
3用法とも過去の経験や出来事を「持っている」という基本イメージは共通ですが、完了においては「(現在)持っている」という点が特に強調されています。
現在完了形の完了用法では、以下の表現がよく使われます。
just:「ちょうど~したところ」
already:「すでに~してしまった」
※just と already は、have(has)の直後に付けます。
yet:「もう~しましたか」という疑問か、「まだ~していません」という否定を表す。
※疑問文か否定文かで意味が変わります。場所はどちらの場合も文末です。
今回は現在完了形について、詳しく確認していきました。
現在完了形は日本語に存在しない時制なので、私たち日本人にはとっつきにくい概念です。しかし「(過去の経験や出来事を)持っている」という基本イメージを意識すれば、決して難しいものではありません。
現在完了形の理解は、生きた英語表現をするうえでは必須です。今回の内容を参考に、ぜひ現在完了形をマスターしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!